さわやかな新緑の季節になり緑が勢いよく成長していく5月から、
そろそろ梅雨に向かっていく頃、ホタル鑑賞の季節がやってきます。
この時期は「○○ホタルの里」とか「ホタルの夕べ」とかの情報が
TVで流れたり、雑誌で特集記事が組まれたりもしますし
各種旅行サイトでもホタル観賞をメインにした旅が企画されています。
ホタルってどんな虫なの?
ホタルといえば、夏前(5月末から6月初め)に飛ぶ光る虫で
ゲンジとヘイケの2種類がある。
そう思っている方も多いのではないかと思います。
ところが、世界に生息しているホタルの種類は、なんと約2000種類!
日本国内だけに限っても、40種類ほどいるそうです。
えっ?そんなにたくさんの種類が…?
でも、ホタルは熱帯から温帯の多雨地域に生息しているので
そのほとんどは沖縄など南西諸島に集中しているようです。
なので、本州で見られるホタルの多くは
ゲンジボタルとヘイケボタルで間違いないようです。
ゲンジボタル は体長15mm前後で、日本のホタルの中では大きいです。
成虫の前胸部中央には十字架形の黒い模様があります。
幼虫は川の中流域にすみ、カワニナを食べます。
ヘイケボタル は体長8mm前後で、ゲンジボタルより少し小さいです。
おもに細流や水田などの止水域に生息。
幼虫はカワニナだけでなくモノアラガイやタニシなど様々な淡水生巻貝類を幅広く食べます。
時には干上がる水田のような環境でも、
エラ呼吸だけではなく空気呼吸を併用して、泥に潜って生きているそうです。
成虫の出現期間も長く、5月から9月頃まで発光が見られるとか
ヒメボタル は体長7mm前後で、ヘイケボタルより更に小さい
陸に住むホタル。西日本の林地や草地に生息しています。
幼虫は林床にすみ、マイマイやキセルガイなどを食べます。
5-6月に羽化し、かなり強く発光しますが、
川辺などの開けた場所ではなく森林内などの
人目につきにくい場所で光るのでわかりにくいですね。
ホタルは夏前のものと思っていましたが
朝鮮半島、中国、対馬列島などに生息するアキマドボタル は秋に
西表島のイリオモテボタル は真冬に発光するそうです。
ほたるは一生のほとんどを、
水の中と暗い土の中で過ごします。
成虫になって飛んでいられるのは約1週間前後と言われています。
この間に子孫を残して一生を終えていきます。
夏のセミみたいですね。
5月~6月
オスとメスの蛍(成虫)が交尾して、メスが産卵します。
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6月~7月
卵が孵化し幼虫となる。
幼虫はすぐに水の中に入り、カワニナ等を食べながら暗い場所で成長。
川底の石の下などに潜り込み、水中で温かくなるまで過ごす。
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翌年4月~5月頃
幼虫は水の中から陸にあがり、土の中に潜る。
↓
幼虫は、さなぎに変化。
↓
さなぎになって10日後くらいに羽化し、土から出て成虫となる。
↓
羽化後(5月~6月)
成虫となり交尾の相手を探す。
成虫になったホタルの命は約1週間。
成虫になってからは何も食べず、
つゆなどから水分を摂取するのみで
命をつなぐ行為に力を尽くします。
メスを探すために、飛びながら光るのがオス
葉の上で動かずに光っているのがメスだそうです。
私たちが目出ているのは、限られた時間に子孫を残すための行為なんですね。
ホタルがたくさん光っているところが見たい
ほたるが生息するのは
主に以下のような場所です。
☆カワニナなどのエサがあるところ。
☆水がきれいで流れがあるところ。
☆水底に砂、レキがあるところ。
☆上陸しやすい護岸であるところ。
☆護岸の上には、草が生え、柔らかい土であるところ。
☆暗く静かなところ。
そして、よく飛ぶ条件は以下の3つです。
☆雨上がりなど蒸し暑い日
☆風が弱い日(風が強い日は飛びにくい)
☆月明かりがない日(明るいと、光がめだたない)
オススメな時間は
夜7時半~9時頃です。
夜中でも飛んでいるところを見たことありますが、数は少ないです。
ざっとまとめると
ホタルは求愛行動のために光るので、光が目立つ暗闇を好む。
また、水がキレイな川辺で、上陸しやすい護岸がある場所、
カワニナ等エサが豊富にある場所に多く生息しています。
ホタルを来年も見るために
ほたるの観賞のマナーを守ろう!!
☆光るものは避ける(懐中電灯、携帯のライト、カメラのフラッシュ、車のライト)
☆騒がずに静かに
☆ゴミは持ち帰る(生息地を汚さないため)
☆蛍を捕獲して持ち帰らない(すぐに死んでしまいます)
近くの川に放しても、残念ながら生息は難しい…
余談です
近年、ホタルの放流などをするところもあるようですが、
もともと遺伝的に異なる特性を持った他地域のホタルを安易に増殖・放流すると、
その遺伝子を壊してしまうことがあるそうです。